小惑星探査機「はやぶさ2」の大偉業

小惑星「リュウグウ」の砂や石の入っているカプセルを、日本時間の12月6日午前3時ごろに豪南部砂漠に帰還させた。

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(南十字星の横を突き抜ける「はやぶさ2」カプセルの火球 ©JAXA)

今まで人類の宇宙船や探査機で地球以外の星に行って帰ってきたのは地球から38万㎞の月だけでした。

ところが10年前に日本の探査機「はやぶさ」が、そして今年12月「はやぶさ2」が、6~7年かけて
3億㎞彼方の小惑星まで行って帰ってくる惑星間飛行を世界で初めて成功させ、それも2回続けてです。

しかも、小惑星の砂も持ち帰ってきたのです。

あの米のNASAでも出来ないとあきらめていた小惑星探査を、成功させたんですから、

世界中で日本の技術力に驚いたわけです。

行って帰って来ただけで凄いことなのに、
3億km先の「はやぶさ2」に地球から指示を出すと16分かかって指示が届きます。
「はやぶさ2」から返事が届くのに16分、また地球から16分後の「はやぶさ2」の様子を想像して指示を出す。


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(小惑星「リュウグウ」の表面にタッチダウンする「はやぶさ2」 ©JAXA/池下章裕)


こんな大変な遠隔操作で砂を取ったり、弾丸を撃ってクレーターを作ったり、その様子を写真撮影したり、さらに小型の探査機を表面に下し探査させました。

世界中の研究者やエンジニアが驚くようなことを、難なく完璧にやってのけたのです。


小惑星「リュウグウ」の砂や石の入ったカプセルを豪南部ウーメラ地区に投下、大成功!

12月6日に探査機「はやぶさ2」からカプセルを豪南部のウーメラ地区の予定場所に見事に投下しました。


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(探査機「はやぶさ2」カプセルの火球 ©JAXA)


予定場所にピンポイントで投下したこと自体、大変に凄い事なんですが、更に世界中の人達が驚くようなことをやってのけたのです。

どんな事だと思いますか?

探査機「はやぶさ2」本体がカプセルを切り離したのは、地球から22万kmの距離からです。
つまり地球と月の距離の半分より遠い距離です。
そんな遠くから投げて、地球の南半球にあるオーストラリアの南部のウーメラ地区にピンポイントで落としたのです。

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(豪ウーメラ地区に落下するカプセル ©JAXA/池下章裕)

実力的には月の距離からも地球に落とすことが出来るそうです。


小惑星「リュウグウ」の石や砂を調べて何が分かるのか?

「はやぶさ2」が地球に届けた小惑星「リュウグウ」の石や砂などを調べることによって、

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(豪砂漠で回収された探査機「はやぶさ2」のカプセル ©JAXA) 

私たちの太陽系や地球などの惑星がどのようにしてできたのか、
更に地球の水や私たち生命のもとは小惑星が運んで宇宙から来たものなのかもしれません。
それから、私たち人類が知らないような物質が発見されるかもしれません。


探査機「はやぶさ2」の次の新しい探査はどこへ?

「はやぶさ2」による驚くようなニュースはカプセルの分析結果だけではありません。
もうすでに、「はやぶさ2」は新しい探査をスタートしているのです。
これから向かう軌道上の小惑星「2001CC21」の近くを通過して、2031年に大きさ約30mという小さな小惑星「1998KY26」へ到着しランデブーすると言う探査。これから11年間の宇宙探査ですが、たくさんの発見があることを期待しましょう。

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(地球スイングバイを行う「はやぶさ2」 ©JAXA)

小惑星探査の関係については、次のような投稿もありますのでリンクを貼っておきます。興味ある内容がありましたら、併せて読んで頂ければと思います。

「はやぶさ2」の新しい探査場所2つについての説明
限りなく広がる宇宙-part3 「はやぶさ」の超スゴ技
米版はやぶさ、こと探査機オシリスレックスがサンプル採取に成功!
はやぶさ2、次のミッションは小惑星「1998KY26」
探査機「はやぶさ2」のカプセル、12月6日に豪砂漠へ着陸予定